前章「コレステロールの薬は飲んだ方がいい?①」では、
論文上は薬(スタチン)内服により心血管イベントの発症が有意に抑えられる。しかし、日本人におけるリスク低減率のメリットは限りなく小さい
という話を取り上げました。
今回は、「ではどんな人がスタチンを飲めばいいの?」という疑問にお応えしていきます!
そこで今回取り上げる論文は、Lancet誌から発表されたメタ解析です。メタ解析は多数のRCT(ランダム化比較試験)からデータを統合しているため、エビデンスレベル=信頼性が高い論文になります!
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対象
スタチン VS コントロール群 を比較した22つのRCT試験と
低容量スタチン VS 高容量スタチン を比較した5つのRCT試験
評価項目
心血管イベント、死亡率等
結果
- 10年以内の心血管イベントリスク<20%の群 →死亡率に有意差なし
- 10年以内の心血管イベントリスク≧20%の群 →スタチンで死亡率が軽減する可能性あり
考察
上記の結果をみた読者さんは、「じゃあ実際自分のリスクは何%なんだ!?」と思うことでしょう。そこで日本の大阪大学が提唱した「吹田スコア」が用いられます。
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少し面倒かもしれませんが、検診の結果表と睨めっこして自分のスコアを算出してみましょう!スコアが出たら、下の表から10年以内の冠動脈疾患(いわゆる心筋梗塞など)の発症リスクが分かります!
論文では「リスク≧20%でスタチン内服の効果が期待できる」とあったことから、吹田スコアで高リスク群、特に60点以上の方には積極的にスタチン内服を勧めています。
※文献によっては吹田スコアで「中リスク」の段階でスタチン内服を勧める先生方もいらっしゃいます。考え方は医師それぞれですが、私の外来では基本的に60点をカットオフとすることが多いですね😄