結論
140mmHg未満
しかし、120mmHg未満が望ましいとの研究報告もある
理由
心筋梗塞、総死亡率、心不全の有意な低下が期待できるから
論文紹介
「少し血圧が高いので気を付けましょう」
会社の検診でこんな言葉をかけられた人は多いはずです。
実は「血圧は低いほどいいのか」という初歩的な疑問すら、医学界では未だ結論が出ていないのです!
では現実問題、血圧はどのくらいを目標とするべきなのか?そもそも何故血圧を下げる必要があるのか?今回は医学界で最も有名な雑誌「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(NEJM) 」から「SPRINT試験」を紹介します!
![](https://nishimed-info.com/wp-content/uploads/2022/02/スクリーンショット-2022-02-05-12.58.34-812x1024.png)
対象
アメリカを中心とした102施設の計9361人
グループ分け
血圧120mmHg目標 VS 血圧140mmHg 目標
評価項目
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 心不全
- その他心血管イベントによる死亡
結果
120mmHg未満目標の群で有意に心不全、心血管イベントによる死亡、総死亡が低下
考察
「血圧は低く管理した方がい良い」という、一般の方々からしたら至極当然のような結論ですが、実は我々医師にとってはかなり衝撃的な内容だったのです!
このSPRINT試験より昔の2010年に行われた大規模試験「ACCORD-BP試験」では同様に血圧120mmHg VS 140mmHgが比較され、なんと「心筋梗塞、脳梗塞、心血管死、総死亡に有意差なし」との結果で、医師の間では「実は厳格な血圧管理って意味がないんじゃ….」というような考えが蔓延しておりました。
今回のSPRINT試験はその風潮を打破した画期的な論文で、厳格な血圧管理の有効性を示しました。
高血圧の定義は基本的には140mmHg以上ですが、「降圧目標」という観点からすると120mmHg未満が望ましいとされています。かといってあまり下げすぎても低血圧が心配になりますので、是非120mmHg前後を目標に血圧手帳をつけてみましょう!
※ちなみに160mmHgや180mmHgを比較した有名な試験は、筆者が把握する限りではありません。「なぜ存在しないのか」というと、「調べなくとも当たり前」だからです。ドキッとした方は早めの受診をオススメします…