生活習慣病

コレステロールの薬は飲んだ方がいい?①

結論

年齢や検査値から、「高リスク」に該当する場合は飲んだ方がいい

理由

心血管イベント(心筋梗塞、狭心症、突然死など)の有意な低下が期待できるから

論文紹介

 「コレステロールが高いです。医療機関の受診をお勧めします。」

 この言葉を目にしたとこのある人も多いはずです。特にLDLコレステロールは「悪玉」と言われるくらいなので、間違いなく体には悪いはずです。しかし、具体的に「どの程度だと危ない」「どの程度だと薬が必要」というのは一般の方にはイメージが湧かないと思います。

 今回は海外トップジャーナル「Lancet」から、日本人を対象とした大規模研究「MEGA study」をご紹介致します!

 この研究では、脂質異常症の第一選択薬である「スタチン」の日本人に対する有用性を評価しています。

対象

日本人、40-70歳の男性、閉経後-70歳の女性 計7832人

グループ分け

食事療法+プラバスタチン VS 食事療法のみ

評価項目

心血管イベント(心筋梗塞、狭心症、心血管死)

結果 

5年間の追跡で、スタチン使用群で有意な心筋梗塞発症率の低下を認めた

考察

 上記の通り、スタチンは心筋梗塞を予防する一定のエビデンスが示されました。

 しかし、「なら脂質異常症患者は全員スタチンを飲もう!」となるかと言えば、そうではありません。一体何故でしょうか?

 この論文では、5.3年間追跡での心血管イベント発症率が、

 ・食事療法のみ →2.5%

 ・食事療法+プラバスタチン →1.7%

 となっており、統計学的には5-year NNT=119、つまり119人中118人は治療を受けた意味がないと言えます。「有意差を認めた」ことはもちろん事実ですが、そもそも血管リスクの低い日本人においては、スタチン導入のメリットは非常に小さいのです!

  ではどんな人はスタチンを飲んだ方がいいのかという論文については、次回解説します。