結論
打つべき
理由
肺炎の罹患率を40-60%程度減少させるため
全肺炎の発症率/死亡率の減少も期待できるため
肺炎球菌ワクチンについて
どんな人が対象?
65歳以上が接種推奨の対象となります。
65歳の誕生日になるとお住まいの市町村自治体から接種勧告のハガキの案内が届く場合が多いです。筆者の住む地域では、65歳、70歳、75歳…と5年毎に接種勧告のハガキが届くようになっています。
接種できる年齢に上限はありません
肺炎球菌ワクチンの種類
肺炎球菌ワクチンは以下の2種類が存在します。
○ ニューモバックスNP®️ (PPV23)
○ プレベナー®️13 (PCV13)
このうち、ニューモバックスNP®️ (PPV23)は日本国内での大規模研究で有効性が示されており、定期接種が推奨されています。
プレベナー®️13 (PCV13)も海外では肺炎発症率を低下させたという報告がありますが、日本国内での有効性は未だ示されていません。
費用はどれくらい?
ニューモバックスNP®️ (PPV23)の場合は8,000円前後ですが、お住まいの市町村から補助金制度を利用できることが多いです。筆者の地域では、市町村からの通知が届く5年毎に1,500円程度の補助金が利用できます。
根拠となる論文
2010年に三重大学から発表され、世界トップジャーナルの一つである「BMJ」に掲載された論文を紹介します。日本の介護老人保健施設で行われたランダム化比較試験で、肺炎球菌性肺炎の発症率と死亡率の改善が報告されました。
![](https://nishimed-info.com/wp-content/uploads/2022/02/スクリーンショット-2022-02-11-21.08.50-774x1024.png)
元文献のリンクはこちら
対象
日本の介護老人保健施設の入居者 計1006人
グループ分け
ニューモバックスNP®️ (PPV23)投与群 502人 VS プラセボ(偽薬)群 504人
評価項目
肺炎球菌性肺炎の発症率
結果
肺炎球菌性肺炎の発症率は
ニューモバックスNP®️ (PPV23)投与群 14人=2.8%
プラセボ(偽薬)群 37人=7.3%
となり、肺炎球菌ワクチン投与群で有意に肺炎球菌性肺炎発症率が低下した。
加えて、全肺炎(肺炎球菌以外が原因の肺炎も含めた)発症率、死亡率も有意な低下を認めた。
総評
この研究では肺炎球菌性肺炎の発症率を60%程度改善するという結果でした。
特記すべきは、「肺炎球菌性肺炎だけでなく、全肺炎発症率/死亡率も改善する」という点です。肺炎球菌は肺炎のメジャーな起因菌の一つですが、肺炎全体としての割合は23-25%程度にとどまっています。
にもかかわらず、肺炎球菌ワクチンが「全肺炎」の発症率/死亡率まで改善したと言うのは個人的にはかなり衝撃的でした。
このように、特に高齢者の方々にとってはメリットが大きく、だからこそ国としても定期接種を推奨しています。興味のある方は、是非お近くの内科クリニックに相談してみてください☺️