二次性高血圧とは
高血圧症には大きく分けて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」があります。
●本態性高血圧
みなさんが想像する「生活習慣病」としての高血圧症です。
高血圧症の80-90%はこちらに分類され、治療としては食事/運動習慣の是正が第一となります。
●二次性高血圧
本態性高血圧とは反対に「体質や生活習慣以外に原因のある=特定の病気が原因となっている」高血圧症のことです。
具体的な病名を挙げると、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群など、様々な疾患が二次性高血圧の原因となり得ます。
二次性高血圧の治療は本態性高血圧と異なり、原因疾患に対する治療が第一となります。裏を返すと、二次性高血圧はいくら生活習慣を改善しても良くならないことが多いです。
こんな人は注意
- 比較的若い(40-50代)世代
- 急性な発症
- 肥満体型ではない
- 高血圧の薬が効きづらい
以上に当てはまるような人は、二次性高血圧に当てはまる可能性が高くなります。
本態性高血圧がいわゆる生活習慣病であることを踏まえると、二次性高血圧は「生活習慣病ではなさそうな」人に発症する高血圧です。
本態性高血圧が「歳を取るほど、肥満体型の方に、だんだんと発症してくる」のに対し、
二次性高血圧は「まだまだ若くて、そんなに太ってもいないのに、急に発症してくる」というようなイメージですね。
どうやって調べるの
二次性高血圧症の原因は多岐に渡るので「これを調べればいい!」というような明確な項目はありません。ここでは、一般的に二次性高血圧の原因として頻度が高い疾患とその特徴をまとめています。
原発性アルドステロン症
副腎皮質ホルモン「アルドステロン」の過剰分泌が原因となります。
アルドステロンやレニン等の副腎皮質ホルモンを採血検査で測定してスクリーニングを行い、疑いが強ければ負荷試験や副腎静脈サンプリング等の追加検査により確定診断します。
治療には薬剤治療と手術治療があります。
薬剤治療としては「アルドステロン拮抗薬」が第一選択となります。
手術治療の適応については説明が多少難しいのですが、副腎皮質ホルモンを分泌する「塊=腺腫」が形成されている場合は、手術治療の適応となる場合があります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の典型的な特徴としては、
- 中年以上男性
- 肥満体型
- いびきをかく
- 日中に急な眠気に襲われる
などが挙げられます。
我々医師が外来でスクリーニングとして用いる「STOP-BAHG questionnaire」には以下のような項目が含まれています。
![](https://nishimed-info.com/wp-content/uploads/2022/02/IMG_0306-1024x318.jpg)
3点以上だと睡眠時無呼吸症候群の疑いありとして、自宅での簡易検査をお勧めしています。高血圧は評価項目③にも含まれている通り、睡眠時無呼吸症候群と密接な関係があります。
治療としては、C-CAPという以下のような簡易マスクを夜間睡眠時に装着します。
![](https://nishimed-info.com/wp-content/uploads/2022/02/cpap.jpg)
写真をみると「こんなもの着けて寝られるの?」と思う方も多いと思いますが、実際に患者さんに聞くと「案外よく眠れましたー☺️」という方が多い印象です笑。
近年の報告では、C-PAPを装着することで血圧が2-3mmHg程度低下するという報告もあります。
気道が開通して睡眠の質自体も改善できそうですね☺️。C-PAPと睡眠・血圧の関係についても、ホットな研究があるので近々ご紹介いたします!
総評
今回は、実は注意が必要な二次性高血圧について解説しました!
繰り返しになりますが、二次性高血圧は食事運動習慣の是正だけではなかなか改善が見込めません。頻度自体は少ないですが、通常の本態性高血圧症とは治療方針が大きく異なってきます。
以下の特徴を見て「当てはまるかも…」と感じた方は、是非一度かかりつけの先生に相談してみてください☺️
- 比較的若い(40-50代)世代
- 急性な発症
- 肥満体型ではない
- 高血圧の薬が効きづらい