結論
受けてもいい…が有効性は証明されていない
理由
肺がん死亡率を減少させなかったから
むしろ、頻繁に肺がん検診を行った群の方が肺がん死亡率が高くなった
論文紹介
「検診受けた方が死亡率高くなるの?どういうこと?」と思いますよね笑
それについては後ほど詳しく解説するとして、肺がん検診は最もその有効性が議論されている検査です。先日した「大腸癌の便潜血検査」は「大腸癌死亡率を下げる=検診として有効」といえますが、肺がん検診についてはそうはいきません。
ここまで聞くと「肺がん検診なんて良いところないじゃん!!」と思われる方々も多いと思います。そう、その通りです笑!
そんな肺がん検診の有効性について、Cocrhane Reviewより4年間の追跡研究をご紹介いたします!
![](https://nishimed-info.com/wp-content/uploads/2022/02/スクリーンショット-2022-02-07-20.20.14-1024x732.png)
対象
データベースから抽出した453,965人
グループ分け
肺がん検診(胸部レントゲン検査)を
毎年実施する群 VS 実施しない群
評価項目
13年後の肺がん死亡率
結果
肺がん検診は死亡率を減少させなかった (相対リスク0.99)
考察
冒頭の結論通り、肺がん検診の有効性を示すことはできませんでした。
しかしこの論文で特記すべきは、メタ解析結果で「胸部レントゲンによる検診を頻繁に行った群で肺がん死亡率が有意に高くなった」という点です。
被曝のせい?集計ミス?なぜこんなことが起こったのでしょうか?
答えは「本来見つからずスルーされていたはずの人が肺がんと診断されたから」です。
確かに、検診を受けなければ肺がんと診断されることもないので、そもそも「肺がんで亡くなる」はずがないですよね。
では、「検診で早めに肺がんを見つけて手術すればいいじゃないか!」と考える人もいるでしょう。しかし、「初期の肺がんを胸部レントゲンで探し当てることはほぼ不可能」です。もし胸部レントゲンでわかるレベルの肺癌であれば、それは既に進行がんとなっている可能性が非常に高いです。
よほどの敏腕放射線科医でもない限りは、何百枚とある検診画像から小さな病変を発見することは難しいでしょう。
これが、「肺がん検診の有効性が微妙」という一番の根拠です。
では、早期の肺がんを発見するためにより正確な検査ないのでしょうか?
否、胸部CT検診が肺がん死亡率を有意に低下させたとの論文が報告されています。コストパフォーマンスの観点から現在は一般検診には組み込まれておらず、人間ドッグの「有料オプション」となっている胸部CT検診ですが、その有効性については次回以降取り上げていきたいと思います。